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腹式呼吸〜おなかから声を〜
舞台では、役者の生の声で勝負です。
客席の一番うしろにいるお客さんにも、
ちゃんと言っていることが伝わらなければいけません。
そのためには、まず、単純に声を届かせることができないとダメです。
「腹式呼吸」という呼吸法できちんとしゃべれば、
大きくて、良い声が出てくれるのです。
遠くのお客さんにも声がちゃんとに届きます。
では、腹式呼吸とは、どのような呼吸法なのでしょうか?
【腹式呼吸のメカニズム】
胴の上部には肺が、下部には胃や腸などの内臓があります。
これらの二つを分けているのが横隔膜です。
息を吸うと横隔膜が下がり、それにしたがって肺が下に伸びてふくらみます。
これにより、肺に空気が入ってきます。
横隔膜が下におりると、内臓が圧迫されて行き場を失い、
下腹部がぼこっと盛り上がります。
息を吐くと横隔膜が上がり、肺を圧迫するので肺は小さくなります。
これにより中に入っていた空気を放出します。
圧迫されていた内臓は元に戻るので、
突き出たお腹は次第にへこんでいきます。
これが、腹式呼吸のメカニズムです。
よく、「おなかに息を入れて!」と言いますけれども、
息が入るのはあくまで肺の中ですから!(当たり前か…)
腹式呼吸のワークショップに行ったことがありますが、
講師の方のおなかと胸の動きはすごかったです!!
その講師は女性の方なんですが、
息を吸ったときには、おなかがものすごくふくれて、胸はぺちゃんこ。
息を吐くと、おなかがえぐれるって感じ。
とても人間業とは思えませんでした。
そこまでは出来ないとしても、芝居をやっているのであれば、
基本的な腹式呼吸はマスターしたいものです。
そこで、「よしっ!腹式呼吸をするぞ!」と、意気込むと、
どうやったらいいのかわからなくなってしまうこともあるかと思います。
そういうときは、仰向けに寝てみましょう。
リラックスして、眠ってしまうつもりで
呼吸してみます。
あ〜ら不思議、おなかが上下運動しています。
これが腹式呼吸です(人は眠っているとき、
腹式呼吸になっているようなのです)。
こつがわかれば、立った状態でも
ちょっと意識すればできるもんです。
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君は仰向けになっちゃダメだよぉ〜 |
また、腹式呼吸には、思わぬ効用もあるようです。
【腹式呼吸の効用】
・腹腔の内圧が上がることにより、その刺激を受けて
胃腸の働きが活発になって消化機能が改善され、便秘解消に
効果があります。
・腹筋が鍛えられるので、腰痛予防に役立ちます。
・停滞していた静脈の血液の流れが良くなり、冷え性に効果的です。
体に良いことがたくさんあります。
芝居とは関係なく、イスに座ってるときなどにゆったりと腹式呼吸を
してみるというのは、気分も落ち着きますし、お勧めです。
この腹式呼吸をマスターしているあるオペラ歌手が、
舞台上で共演の子供にヒソヒソ声でアドバイスをしたそうです。
ところが、そのヒソヒソ話が全て、客席に聞こえてしまっていたんだとか。
腹式呼吸には、内緒話ができなくなるという弊害があるようです。
みなさん、くれぐれも気をつけましょう!!
腹式呼吸でお腹をぺちゃんこに……… |
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