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衣装〜変身の素〜
芝居にとってなくてはならないもののひとつに衣装があります。
本番までの稽古は、運動服(Tシャツにジャージって感じ)で行っています。
ですので、実際の衣装を身にまとったときっていうのは、
ちょっとした高揚感があります。
特に、変わった衣装(普段は絶対に着ないようなもの)であればあるほど、
うれしくなっちゃいます。
衣装がイメージを更にふくらませてくれて、
役づくりの助けになってくれることもあります。
ですから、衣装合わせの後は、また、ぐっと役づくりが楽しくなってきます。
このように、魔法をかけてくれるのが衣装ですが、
衣装によって苦労することも、また、あります。
着物のように、普通に存在している衣装だけれども普段はめったに着ない、
という衣装の場合、それを着て稽古しないと、動きの感覚がつかめません。
同じように、ヒールの高い靴を履く場合も、
稽古で履き慣れておかないとだめです。
本番でこけてしまっては困りますからね。
しかし、衣装って、こんな普通のものばっかりではありません。
★真夏の冬芝居★
雪山が題材で季節は冬、という芝居を
真夏に行いました。
ただでさえ照明で暑い舞台の上は、
真夏でクーラーのない劇場のために超高温。
そこで、冬の服装です!! |
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聞いただけで汗が出てくるでしょう?お客さんも汗だくだったようです。
今ではその劇場、ちゃんとクーラーが設置されています。
★恥ずかしがってる場合じゃない★
1本の芝居の中で、何回か衣装替えがあることも多いです。
着替えは、楽屋か、舞台の袖。
早替えしなければならず、着替えの場所も狭いし、
皆がそこに控えているし、ってことになると、
そこに男性がいようがなんだろうが、そんなことかまっちゃいられません。
さっさと、パンスト姿、ブラジャー姿になっちゃったりします。
薄暗いし、むこうも見たくないでしょうから、大丈夫なんです!
★人間ではない★
妖怪の役をやりました。毛むくじゃら系です。
当然、衣装は着ぐるみに近いもので、着ると、とても暑い!!
毛むくじゃら系の妖怪なんだから、
そういう衣装になるだろうなぁってことは覚悟してましたよ。
もうどうにでもしてっ、何でも着ますよ〜、って感じ。
でも、おかげで「かわいい!」と大人気でした
(すごいおっさんキャラで作ったんだけどね)。
また別の妖怪。
琵琶の付喪神で、頭が琵琶(そのまんま!!)っていう妖怪です。
自分の顔が出るように作られている、
琵琶の形のかぶりものをかぶりました。
そのかぶりものの琵琶が茶色と黄色に塗られていたので、
そこから出ている自分の顔も、
半分を茶色、半分を黄色で塗りました。
黄色いドーランを顔に塗るという
貴重な経験をいたしましたわ。
しかし、よく妖怪の役をやるなあ…。
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★明かりがついたら★
明転板付き(明かりがついたとき、舞台上に役者がスタンバイしている
場面転換)のとき、中央にスタンバった役者が…。
彼は、その前の場面の衣装から、
日曜日のお父さん的ジーパン姿に着替えてスタンバイする
段取りになっておりました。
ところが、ところがです!
明かりがついて、彼の方を見ると…、
な、な、なんと、パンツ姿ではありませんか!?
同じ舞台上にスタンバイしていたこっちは、
え〜っ!なんですけど、芝居を続けないわけには行きません。
幸い、彼の機転で、明かりがついた瞬間に、
「こんな格好で失礼します〜、ハハハ、変でしょ、あはははは」的な
演技を入れたため、まあ、それなりに無事に話は展開していきました。
ちょっとほのぼのと笑える場面でしたしね。
ところが、後半は、少しシリアスになってくるんです。
途中でそのことを思い出しても、もう遅い!
とにかく力技でその場面を切り抜けたのでした。
どうやら、暗転中、暗闇の中で着替えるべき
黒っぽい色のジーパンが行方不明になったらしいです。
次のステージからは、見つけやすくて履きやすい、
パジャマのズボンに衣装を変更していました。
いかがです?
変身願望が叶えられると思いませんか?
もっとも、変身したくないものにでも変身しなければいけませんけどね。
いやいや、それこそ、日常ではできないこと。
余計に楽しいものなんです!!
公演中の衣装って汗臭くなるのよねぇ……… |
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