|
小道具〜作るのも使うのも楽し〜
芝居の中で使う道具の内、“小さい”という部類に分類されるもの。
これが、「小道具」です。
ペンやハンカチ、タバコなどの身につけるものから、
ビンや本など、置いて使うものなど様々です。
イスくらいまで大きくなると、「大道具」と呼ぶのが一般的でしょうか。
さて、これら小道具は、ありもので済む場合もあれば、
作らないといけないものもあります。
なぜって、実際には世の中にないようなものも、
芝居の中では使うんですもの。
だからこその楽しみが小道具作りです。
どんなものを作ろうか、何を利用して作ろうか…って考えるのは、
なかなか楽しいもんです。(頭を痛めるって話もありますけど。)
★大根★
人間の体内に住むミクロ人が意味するところの大根。
実際には、ミクロ人が住んでいる体の持ち主の鼻毛。
ミクロ人はこれを栽培してる気になっているのだ。
にらに、鼻くそに見立てたボンド団子をくっつけて作成。
微妙な感じがなかなかの逸品でした。
★花占いのバラ★
好き、嫌い、…と花びらを1枚ずつ抜いていく、あの花占い用のバラの花。
リボンフラワーのテクニックを駆使して作成。
だって本物のバラを使うと、
いっぺんにバラバラっと花びらが落っこっちゃったりするでしょう?
意地悪なことに、特に本番ではそうなりやすいですから!
1ステージ終わると、
ちゃんと花びらをセットし直せるという、
なかなかのできばえでした。
|
|
★夢誘導ヘルメット★
これを被ると、ある幻想が見えてくるという、ヘルメット。
本物のヘルメット(工事現場で着用するやつ)だと、
重いし、デカいし、カッコ悪いし、…。
ってわけで、野菜水切り用ボウル(金属製のオシャレなもの)を
利用して作成。
でも、やっぱり間抜けな感じでした。
まぁ、それが良かったという話もありますが。
★特別銘柄の飲料★
空きビンにかわいいラベル(美術さんが描いてくれました!)
を貼って完成。
こういう小道具は、ホント、うれしくなっちゃいます♪
★ジャンプ力養成ギブス★
ジャンプ力を養うために着用するギブス。
当然ながら、実際にはそんなものありません!
どういう品にすればそれっぽく見えるのか考えた末、
ハンズで見栄えの良い幅広ゴムを購入して作成。
ちゃんとそれなりには見えましたが、
勿論、これを使っても、実際にジャンプ力は養成されません。
★長〜いマフラー★
ボケちゃったおばあちゃんが、エンドレスで
編んでいるものという設定のマフラー。
ええ、せっせと編みましたとも…。 |
|
★手持ち看板★
まさに図画工作。色紙、のり、ハサミを使って作成。
こういうのって、意外と楽しいんですよね。
童心に帰ってる…余裕はないんですけど。
こうして作成された小道具も、ありものの小道具も、
うまく使わなければ何にもなりません。
ところが、舞台上で小道具を使うっていうのほど難しいことはないんです。
普段使ってるもののはずなのに〜、って思うんですけど、
なんとなく不自由になってしまうのです。
いわんや、普段使わないものおや、です。
★牛乳大爆発★
「怒りっぽい、そんなあなたには、はい、カルシウム!」と言って、
ポケットから牛乳を取り出して見せるという場面がありました。
正に牛乳って感じが欲しかったので、ビン牛乳を使用。
当然、公演期間中、ずーっと同じ牛乳を使うつもりです。
…何ステージめかの舞台。
牛乳をポケットにしまっている彼と会話中、
「ん?」、彼のズボンにしみが広がってる…。
え!?何が起きたの?ぬ、ぬれてる!!
そう、日にちがたって腐敗してきた牛乳が、
蓋を押し上げポケットの中で爆発したのでした。
なんとかアドリブで芝居はつないだものの、
その回は少々ミルクくさいステージとなりました。
舞台上で「ものを食べる」というのも、何かと大変なものです。
★りんごカレー★
芝居の中でりんごカレーなるものを食しました。
ここでいうりんごカレーとは、りんごが入ったカレーではなくて、
「皮をむいた丸ごとのりんごにカレールーをかけたもの」。
それを全部平らげないといけないのです。
おいしい、おいしい、と言って。
しかも、決まった時間内に。
いかにきれいに、短時間で食べるかっていうのに気を使いました。
だって、見てて汚らしいのは不愉快でしょ。
こういう無理難題でもこなしてしまうのが、っていうか、
こなさなきゃいけないのが役者なんですわ。
ええ、頑張りました。練習しましたよ〜。
本番も含めて、たくさんりんごカレーを食べましたとも。
お味の方は…、温かいカレーをかけると、
これがなかなかおいしいんです!
皆さんも、是非是非、お試しあれ。
★珈琲★
芝居の中で、コーヒーメーカーでコーヒーを入れて
舞台上の人物に提供するというものがありました。
豆から粉に挽いて、フィルターにセットして、お湯を注いで、
抽出して、カップについで、…。
一連の工程を済ませ、絶妙のタイミングで
「はい、どうぞ!」と提供しないといけないのです。
どこを観せて、どこをはしょるか?
稽古中は試行錯誤の連続です。
たくさんの挽かれた豆。何杯も入れられたコーヒー。
苦労の末ばっちり決まった工程では、
適当にコーヒー抽出作業をはしょるので、
舞台上で提供されたコーヒーは、
残念ながらおいしいというわけにはいきません。
でも、芝居の中で漂わせたかった珈琲の香りは、
きっと客席まで届いたことと思います。
どうです?
小道具を作るのも使うのも、なかなか楽しいもんでしょう?
舞台の上で飲む1杯……… 舞台の上で食べる1皿……… |
|
|