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大道具〜これもまた楽し〜
小道具に対して大きめの道具となるのが大道具です。
机、イス、ソファーセット、棚、カウンター、木、などなど。
大道具は、ありもの、本物を調達して使うこともありますし、
作ることもあります。
棚(酒ビン棚、本棚など)のように、
実物ほどの奥行きが必要なかったり、もっと簡易でいい、
というような大道具の場合は作ってしまいます。
木材を買ってきて、切って、たたいて(くぎを打って)、色を塗って、…。
ひと仕事ですね。
予算があればプロの方に頼むのですが、
低予算でやっている場合(大概がそうですが…)、自分たちで作ります。
大道具だって、もちろん、工夫を凝らして作るものなんです。
★扉よ開け!★
舞台正面に、大きな観音開きの扉(大道具)を配置することに。
色塗りまで終了してきれいに仕上がっているものを、
仕込み日(本番前日)に舞台上に設置。
…したのはいいけれど、実はこの扉、要所要所で自動で手前に開き、
人の出入りが終わったら、また自動で閉じる、
という動きをしてくれないと困るもの。
しかし、どうやって動かすのかの仕掛けは決まってな〜い!
既に本番前日、ああでもない、こうでもない、と試行錯誤を繰り返し…。
なんとか無事できましたけど。
(材の一端を扉下部に打ち付け、
材の反対側を、扉の裏下方にもぐった人が引いたり押したりするという、
まあ、原始的だけど確実な仕掛けかな。)
当時は、時間が有り余ってるような感覚で悠長にやってましたけど、
今考えると、なかなかスリル満点ではないですか!
★本棚★
まるで図書館のように、壁一面に本がある、
というセット(大道具)を作りました。
もちろん、本もニセもの。すべて手作りです。
これらの本、どうせ棚に納まっているものなんだから、
奥行きは短くて良いのです。
ダンボールで本の形を作り、
見える背表紙の部分にだけ布きれを貼っていく、という作業。
簡単なんだけど、なにしろ作る本の量が多いので、結構大変。
役者同士の語らいのお供に、っていう作業となりました。
出来は………とても素敵でした。
ところが、うっかりさんが本番中、
仕込んである本物の本と間違えて、
ニセものの本を棚から引っ張り出してしまいました。
こらこら、本物の本は、そこじゃな〜い!
★雪降らせ★
上空から雪片がひらひらと…。
そこに照明が当たって…。
とても美しいシーンです。
美しければ美しいほど、その裏にある準備は大変なものです。
雪を降らす範囲が広ければ垂木と布地で作った入れ物を、
範囲が狭ければかご等を上に吊り、この中に雪片を仕込みます。
舞台袖で吊りものにつけたひもを引いて揺らし、
雪片を落とすという仕掛け(大道具)。
仕掛け自体はオーソドックスなものですが、
中に仕込む雪片を作るのは、結構大変です。
普通、紙テープを切って雪片を作ります。
紙テープ幅の正方形、半幅にしての正方形、三角形、などなど。
切り方によって、舞ったときの見え方も違ってくるようです。
降らす量が半端じゃない場合は、一人分の作成ノルマが多くなり、
毎晩、毎晩、紙テープと格闘、手にハサミだこが、…なんてことも。
でも、照明に照らされてジャンジャン降っている雪はとってもきれいです。
苦労はちゃんと報われるものなのです。
★幕落とし★
舞台奥行き途中に幕が下がっていて、奥のものは隠されている。
その幕前だけで芝居が進行してしる。
バ〜ン!!あるきっかけで、幕が天井からはずれてストンと落ちる。
すると、その向こう側には、な、な、なんと…。
私の好きな演出です。ハッとする驚きがあって素敵でしょう。
この幕落とし(大道具)、舞台袖で仕掛けのひもを引いて幕を落とすように
なっているのですけど、
このひも引きの大役を仰せつかるとドキドキもんです。
ひもを引いても幕が落ちなかったらどうしよう、
逆に、間違ったタイミングで幕を落としちゃったらどうしよう、
そして幕の後ろがまだスタンバイできてなかったりしたら…などと、
袖で緊張しているわけです。
でも、その甲斐あってか、きれいに決まると、
会場をあっといわせることが出来ますからね。爽快です!
でもね、床に落ちた幕がズルズルと袖に引き込まれていく様は、
ちょっとおまぬけだったりするんです。
どうです?大道具もまた楽し、でしょう!?
あるときはパラパラと、そしてまたあるときはジャンジャンと……… |
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